介護問題・体験談・脳炎の症状?
一向に減らない点滴袋の液体を本当に恨めしく睨めつけました。最後は、母が抵抗する腕を押さえることだけに集中していると、部屋の扉が開きました。
もはや背後を見る気力がなく「お疲れ様でした」というナースの言葉が私に開放を与えてくれました。
ベッドを降り靴を履くと一気に達成感が全身を包みますが、年配のナースは医院長がお呼びですです。
と、いかにもビジネスライクという口調で言います。
少し腹が立ちましたが、今はそれどころではありません。
医院長と対峙すると、医院長はホワイトボードに様々なレントゲン写真のようなものを張り付けていきます。
それらを見てもわからない私は、個々の写真を一瞥するだけです。早く治してほしいという気持ちが強くなりました。
主治医は座り、カルテのようなものを見て話し始めました。
詳しい話はよくわかりませんが、診断結果は『脳炎』だと思われるとの結論が出されました。
診断結果が出たのには安心しましたが、問題は治療と完治するのか?ということです。
主治医が言うには完治は難しく、根気強く治療するしかないとのことでした。
一旦待合室に戻った私は、硬い椅子に座りながら絶望感に包まれていました。
このままの母を介護しながら生活ができるのだろうか?
ふと通帳に記載された数字も思い出します。
どのように考えても絶望です。絶望しかありません。
額に手を当てていると、涙が出ていることに気が付きました。
「西山さん!」
常に冷静だったナースの慌てた声が私の鼓膜を揺らします。
振り返るまで数秒かかりましたが、どうしました?と、声を絞り出しました。
ナースは小走りに私に近寄り、手を取りました。
「お母さんのところへ急いで下さい」
混乱が更に大きくなりましたが、鬼気迫るナースの手に引かれて母の病室へ入りました。
一見すると母は寝ているように見えましたが、近くで見ると痙攣し、白目を剥いていました。
2020年07月10日 19:55
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