便利屋ほほえみ｜家事代行・ハウスクリーニング・高齢者、介護必要度が高い方の介護サービス｜江戸川区・葛飾区・江東区

高齢者詐欺・できるだけ逮捕されないように気をつけている

最初に与えられた仕事は、新規客の対応です。
電話が鳴ると、前の席にいる女性が社名を言った後に要件を聞く。
女性が保留ボタンを押したら、隣に座る金髪男に要件の内容を伝える。

「新規のかたでぇーす」４０近い年齢に見える女性は、軽い口調で言う。
新規という言葉に少し身構えますが、多くの方に収支を届けられるならばと意気込んで受話器を耳にあてました。

「お前んトコは詐欺か？」明らかに好戦的な圧をかけてきます。
「詐欺ってなんですか。ウチは、全員に儲けてもらってますよ」
「どうせ、誰が聞いているのかがわからないコースとかあるんだろ」

コースという言葉に違和感を覚えますが、私は強く反論します。
「コースだとか意味がわかりません。ウチは正々堂々と的中実績を載せて、全員に稼いで頂いております。アナタ、失礼ですよ」

そう私が断言すると、客は急に矛を収めた。
そこからはトントン拍子に話が進み、客は5万円の入金をした。
喜んで受話器を切ると、すぐさま山口は険しい顔で私を呼びつけた。
新規会員が増えたことで、褒めてもらえるのだろうと思い、私は胸を張って山口の横に立ちました。

「君は何を言っているんだ」予想に反して厳しい口調だ。
新規客を獲得したのに、何を言っているのだろうと思案していると、山口は続けた。
「もし君の言葉を録音されていたらマズイぞ」

更に困惑した私は、山口の顔を不思議そうに見ていると、呆れたように山口は口を開きます。
「君には、全体像を伝えるよりも個々の仕事に対して詳細を覚えてもらい、点から線にしてもらったほうが良さそうだな」
理屈っぽい山口の言い回しに、正直、面倒を感じましたが、私はＹＥＳとしか返事ができません。