スーパーのレジにて・クレームの体験談
相変わらず忙しい、深夜の小岩駅前のスーパーです。レジの横には多くのお客様が、険しい顔をして列をなしています。
私の前に、50代くらいの白髪で痩せ型の男性が買い物カゴを雑に置き、待ち時間が長かったせいなのか機嫌が悪いのかわかりませんが、攻撃的な視線を送ってきます。
そんな視線にもマニュアル通りに、笑顔で対応しました。
すべての商品のバーコードを通し終え、セミセルフレジ台に商品カゴを丁寧に置き、支払いを促しました。
このお客様は接客をしたことがなく、おそらく新規客だと思われましたが、長くレジを打っていると新規客でも肌感で揉めそうな客がなんとなく解ってきます。
セミセルフレジで支払っている男性客からは、鳥肌が立つレベルで私の脳内に緊急事態宣言を告げていました。
どうか何事もなく退店してほしいと願いながら、次のお客様の対応をしていました。
「おい。袋詰めはどうした!」威圧的な声がセミセルフレジ側から飛んできました。
やっぱりか、そう腹の中で毒づいてから笑顔で「袋詰めはセルフでお願いいたします」柔らかい口調で返事をしました。
横を見れば行列ができていますし、会社からは袋詰めの指示は受けていないのが最大の理由です。
そして、サッカー台といわれるお客様が個人で袋詰めする場所が広く設けられているんです。
「私は障害者なんです」そう言って、鞄に付けられたキーホールダーを提示してきました。
とても障害者には見えませんが、これ以上拒否をすれば面倒なクレームに繋がると判断し、手早く袋詰めを開始しました。
行列から浴びせられる冷たい視線を感じていましたが、仕方がありません。
「タバコは売ってないのか」
「タバコはフロアではなく、サービスカウンターで販売しております」
私は袋詰めをしながら応えると、男性客はサービスカウンターへ向かいました。
ようやく袋詰めが終わり、戻ってきた男性客に商品を手渡しました。
何事もなく終わったかと、胸を撫で下ろしてから次のお客様の商品のバーコードを通し始めました。
「なんだこれぇ~」雑踏のなか、泣き叫ぶような大声が店内に響き渡りました。
驚いて声の方向を見ると、例の男性客が私を睨みつけながら足早に近づいてきます。
私の前に、袋に入った商品が壊れるかと思うくらいの力でレジ台に叩きつけました。
「何かありましたか」私は冷静に対応しました。
男性客は、これを見ろと怒鳴ってレジ袋を開きます。
目の前には、私が丁寧に詰めた商品が崩れていました。今の衝撃で崩れたのは明白です。
「こんな袋詰めがあるかぁ」男性客は、涙目で訴えます。
あまりに理不尽な言動に、不快感が顔に出たかもしれませんが、「すみません」と詫びました。
「障害者だからってバカにしているのかぁ」
「そんなことはありません」
永遠に終わらない押し問答を続けていると、目の前にいるお客様が声をだしました。
「こだわりがあるなら、自身で詰めればいい。この店員サンは普通に詰めていましたよ」
ド正論の言葉と行列からの冷たい視線に気が付いた男性客は、慌てて自身で袋の中を手直しし、そそくさと帰っていきました。
2020年10月21日 21:40
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